お葬儀って必要なの?|鶴ヶ島で葬儀をご検討の方へ

人が亡くなると、多くの場合お葬儀を行います。近年は、家族葬や直葬などの言葉が広く知られるようになり、お葬儀のスタイルも様々なものが登場しています。しかし、なぜ葬儀を行わなければならないのでしょうか。
この記事では、葬儀の意味や役割に触れながら、お葬儀の意味を多角的に探ることによって、満足のいくお見送りについて考えていきます。

葬儀とは

葬儀とは、今では「お葬式」と同義で扱われているように、世間的には「故人様を見送る儀式全般」を指す言葉として定着しています。
しかし、元の意味をたどっていくと、意味合いは少し違うのです。なお宗教や地域によって、葬儀のルーツは細かく異なるので、ここでは日本で最も一般的である仏式の葬儀についてお話します。

葬儀とは、家族や親族といった近親者のみで故人様を囲み、お坊様にお経をあげてもらう儀式と思われる方が多いと思います。ただ、広い意味では、故人様がお亡くなりになってから、お葬儀が終わった後の法要に至るまでの全行程を「葬送儀礼」といい、葬儀はそのうちの1つの儀式のことでした。しかし、今では「葬儀は葬送儀礼の略」という考えもあるように、「お葬式」と同様、故人様を見送る一連の儀式儀礼全般を指す言葉に変容しています。

注意すべきことは、お葬儀において表立って執り行われる儀式行事は、大切な人を亡くしたご遺族の心の悲しみのプロセスの上に成り立っているということです。なので、表面の儀式行事だけでなく、死別に出会った方々が、その大事な人の死の事実を受け止める心的なプロセスにこそ注目する必要があります。儀式をする、しないにかかわらず、その奥底に流れるご遺族の心の動きに沿ったお葬儀が必要になってくるのです。

葬儀の役割

お葬儀にはいくつかの役割があります。

  1. 故人への最後の敬意と感謝
    お葬式は、亡くなった方への最後の別れと敬意を表す機会です。故人の生前の功績や人としての尊厳を称え、感謝するのです。
  2. 遺族や友人の支援と慰め
    お葬式は、遺族や友人が集まり、共に悲しみを分かち合う場でもあります。亡くなった人を偲ぶことで、悲しみや喪失感を共有し、支え合うことができます。
  3. 宗教的・精神的な意味合い
    多くの宗教は、お葬式は魂の安息を祈るための儀式として行われます。また、死後の世界への信仰や再び生まれかわることへの期待を表す場でもあります。
  4. 社会的な役割
    人が亡くなると、親戚や知人・友人に訃報を出して死を知らせます。そして訃報を受け取った人は葬儀に集まり、故人が亡くなったことを事実として受け入れることができるのです。葬儀を行うことで訃報を受け取っていない地域の人なども故人の死を知ることとなるので、葬儀は亡くなったことを周囲の人たちに知らせる意味合いとしても大切な役割となっています。
    同時に人は社会の中で様々な繋がりがあり、社会的にもその人が亡くなったことを届け知らせる必要があります。その観点でいえば、役所などに死亡届や戸籍、相続などの届け出を出して手続きするというのも、葬儀に含まれています。
  5. 感情の整理と受容
    お葬式を通じて、喪失や死の現実を受け入れ、感情を整理することができます。喪失に直面することで、悲しみや怒りなどの感情を表出し、それらを受容するプロセスが重要なのです。
    これらの要因からもわかるように、お葬式は単なる儀式以上の意味を持ちます。それは、故人様を偲び、生き続ける者たちを支えるための重要な社会的・精神的な行為なのです。

お通夜と告別式に込められた意味の違い

お通夜と告別式。全く違うものと認識されていると思いますが、どう違うのかわからない方も多いのではないかと思います。どちらに出るべきなのか、マナーの違いはあるのか。
それぞれのルーツを明らかにし、大人の知識として知っておくべき事柄をご説明します。

お通夜とは

お通夜とは、今では告別式前日の夜に行われる儀式(通夜式)を指しています。
一般の方を招きお坊様を呼んで、故人様へ読経・焼香をささげ、その後「通夜振舞い」と呼ばれる会食を行って、故人様を供養する流れです。

昔の日本では、通夜にはもっと重要な意味合いがありました。通夜はもともと、死者の復活を願って行われていた儀式がルーツになっています。自宅に故人様を安置し、一晩中灯りを絶やさずに寝ずの番をして、ご遺体を守っていたのです。夜通し行われていたので「通夜」といいましたが、現在では1~3時間程度で終わる「半通夜」が一般的になっています。
本来は、家族や親しい人が故人様のそばで別れを惜しむ場でしたが、近年では告別式に参加できない人と故人様との別れの場として使われることが多くなっています。

葬儀・告別式とは

告別式とは、火葬と同日に行われる広く一般に開かれたお別れの儀式で、故人様と親交のあった多くの人々が参列する、葬儀のメインとなる儀式です。

現代の仏式の葬儀では、近親者のみが参列する「葬儀式」と一体の流れで行われるのが一般的です。今でも「告別式」の正式名称は「葬儀・告別式」です。一連の流れの中で行われるため、今では近親者向けの葬儀式も含めて「告別式」と認識している方がほとんどでしょう。
このように、お通夜と告別式は共に故人様を偲ぶ場であり、悲しみを共有する機会ですが、お通夜は故人様の死を受け入れる初めの段階で行われ、告別式はその後に行われ、故人様の生涯を称える最後の別れとなります。

お通夜と告別式、どちらに出るべきかは、個々の状況や関係性によって異なります。

  1. 親しい関係者の場合
    もし、故人様やその家族と親しい関係である場合、お通夜と告別式の両方に出席することが適切です。お通夜では家族や親しい友人と静かに時間を過ごし、告別式では故人様を偲び、その人の人生や功績を称えることができます。
  2. 関係が疎遠な場合
    もし、故人様やその家族との関係が疎遠であったり、距離がある場合は、参列する必要がないかもしれません。ただし、故人様やその家族との関係性や、自身の心情に基づいて判断することが重要です。
  3. 時間や距離の制約
    お通夜や告別式が遠方であったり、参列するために時間や費用がかかる場合、自身の状況を考慮して出席の可否を判断する必要があります。
  4. 他の形での敬意表明
    お通夜や告別式に出席できない場合でも、手紙や弔電、お悔やみのカード、お花などを送ることで、故人様やその家族に敬意を表すことができます。

総合的に考えると、親しい関係者であればお通夜と告別式の両方に出席することが望ましいですが、状況や自身の感情、時間や距離の制約などを考慮して、適切な判断を行うことが大切です。

では、お通夜や告別式、参列する際にはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

お通夜のマナー

お通夜は故人様を偲ぶ静かな儀式であるため、参列者は静粛さを保ち、敬意を払うことが重要です。
一般的には黒や地味な色の服装が好まれます。会話を控えめにし、悲しみを共有するための場であることを心に留めて行動します。遺族が悲しみに暮れている場合がありますので、敬意を表すためにも遺族に寄り添い、支援することが望まれます。

告別式のマナー

故人様の人生や功績を称える場であるため、参列者はより厳粛な態度で臨みます。告別式でも、黒や地味な色の服装が一般的ですが、お通夜よりもややフォーマルな服装が求められることがあります。特に近親者は、より堅苦しい服装が適切です。
故人様に対する最後の別れであることを心に留め、礼儀正しく行動します。告別式では、遺族が特に悲しみに暮れている可能性が高いため、遺族に寄り添い、支援することが重要です。遺族に対する言葉や身振りでの励ましや支援を行います。

葬儀の種類

お葬式には大きく分けて、4つの種類があります。

一般葬

一般葬とは、家族・身内だけなど参列者を限定せず、広く一般の方に故人の弔いに参列していただき大規模に執り行うスタイルです。一般の方と言っても故人の親族や知人、職場の関係者や近所の方、喪主をはじめ故人の家族の知人や関係者など、なんらかの関係がある方々を指します。とはいえ、招待状などを出すわけではないので、基本的には誰でも参列して弔うことが可能です。

1日目にお通夜を、2日目に葬儀・告別式と火葬を執り行うのが通例となっています。

一般の参列者は、お通夜や告別式に訪れ、受付で記帳を行い、お香典を渡すのが一般的です。一方、喪主からはその場もしくは後日、返礼品をお返ししたり、通夜ぶるまいや精進落としなどの会食でもてなしを行います。

故人や喪主がお付き合いの多い人であると、葬儀とは別にお香典や供物が届く場合や、自宅に直接弔問に訪れる人が増えるなど、個別対応が大変になるケースも少なくありません。一般葬を行うことで、お通夜と告別式で基本的な部分は完結できるので、長期に渡って個別対応する手間をかけずに済みます。

なお、「一般葬」という名称は、「家族葬」という言葉の認知度が広がった際に、小規模な葬儀を「家族葬」、従来の葬儀を「一般葬」と区別したために「一般」という名称が付いたと考えられます。

家族葬

家族葬とは、原則として親族を中心に行われる葬儀で、参列者は数人など小規模になることが少なくありません。ただ、絶対に家族だけで執り行う必要があるわけではなく、仲の良い友人を招くなどしても問題ないです。一般葬よりも規模が小さく、落ち着いた雰囲気の中で、故人のことをよく知る人たちだけでゆっくりとお別れができます。お通夜、葬儀・告別式もあり、流れや内容は一般葬と大きな違いはありません。

参列者を限定することで、お葬儀にかかる費用を抑えられる点以外にも、参列者対応において気疲れが軽減するというメリットもあります。ただ、前述の通り、お葬儀が終わってから長期に渡って個別に対応しなければならない場合も出てくるので、故人との関わりがある方の心情も考えたうえで、お葬儀の方法について考えていく必要があるでしょう。

一日葬

通常の葬儀におけるお通夜を省き、葬儀・告別式と火葬を1日で執り行う葬儀のことです。

1日で葬儀を終えることができるので、喪主やご遺族の負担が軽くなるという点が特徴といえます。身内のみでひっそりと葬儀を執り行う場合もありますし、一般の方も多く参列する場合もあります。

ご家族が仕事で忙しい場合も一日だけなら休めるなど、日程の融通がききやすいです。またご高齢のご家族の場合、2日間は体力的に厳しい場合もあるかもしれません。1日ですべて完結する一日葬は、そのようなご家族の負担を軽減しくれるという面もあります。ただ、選択肢が1日しかないので、その日がどうしても都合が悪い人は参列することができないというデメリットもあります。

直葬(火葬式)

お通夜や、葬儀・告別式を行わないで、火葬のみ執り行う葬儀形態で、近年急速に増えつつあります。故人とのお別れは、火葬場の火葬炉の前で簡単な形で行われるのが一般的です。家族葬同様、一般の方の参列はなく、ご家族やご親族など身内のみで執り行われます。

こうした葬儀のあり方は、現在では「直葬」や「火葬式」という名称が与えられ、インターネット上でも広く紹介されるようになっています。費用も時間も最小限に抑えることができるのが最大のメリットです。しかし、まだまだ新しい葬儀スタイルなので、後々、ご親族などから非難されたり、お葬式をしないことで、菩提寺に納骨することができないなど、トラブルにつながることもあります。後悔してもやり直せないのがお葬儀です。決断する前に周囲に相談するなど、慎重な対応が必要です。

まとめ

死は多様であり、同じ生がないのと同様に、同じようにみえても、全く同じ死はないのです。送る形も同様で、同じようにみえても、全く同じお葬儀は存在しません。

昔と違い、現代では送るスタイルも様々な形態があります。しかし、どのような形をとっても、故人様への感謝の気持ちをもち、その人らしいお見送りの形をよく考えることは、残された人たちにとっても大切なことです。

葬儀とは、残された者たちが気持ちに整理をつけ、前を向いて歩きだすための区切りの儀式でもあります。故人様に関わった全ての人にとって、後悔が残らないよう、しっかりとお見送りできる形になることを、心よりお祈り申し上げます。